息子が生まれて1ヶ月ほどの頃、顔にポツポツと湿疹が出来はじめた。
最初はよくある乳児湿疹だと思っていたし、健診でもそう言われていたが、なかなか治らない。そればかりか日に日に悪くなっているようだった。
それまで、アレルギーと言えば自分の花粉症とダンナの鼻炎くらいで、アトピーなど夢にも思っておらず(今考えると両親共アレルギー体質である場合かなりの確立で遺伝するので気を付けるべきであったのだが)、知識もほとんどなかった。
それでも、右腕のひじの内側が赤くただれた時はさすがにドキリとした。まさか?でも....??という不安の中、育児書にあるアトピーの症例とよく似た症状がどんどん出始め、さすがにこれは乳児湿疹のスキンケアでは手におえないと判断し、皮膚科で診てもらうことにした。
そこでは、まだアトピーという診断はつかないと言われ、塗り薬と飲み薬、それに薬浴剤を渡され、基本的なスキンケアなどを教えてもらった。しかし、言われたとおり薬を塗っても良くならない。塗ればすぐジクジクは治まるのだが、1日経つとまた戻ってしまう有り様だった。 炎症部分も全身に広がりつつあった。
ひどくなる一方の症状に、医者も薬も信用できなくなり、痒がって泣く息子を抱えて、この頃は本当に本当に辛かった。
なにか良い治療法はないかとアトピーの本を読みあさってみたが、結局は確立されていない数々の治療法に惑わされるばかりで何の解決にもならない。買い物に出れば「お子さんアトピーですよね?いい商品があるんですが」などとキャッチセールスに声をかけられてしまうし(失礼な話だ)。
そうして途方に暮れていた時親戚に、県内でアレルギーの専門医がいるという病院を教えてもらった。またステロイド治療をされるのではないかという不安もあったが、ダメモトで行ってみようということになった。
こちらでは、先の皮膚科のような皮膚の炎症を治そうという対症療法ばかりでなく、根本的なアレルギーの治療も行った。きちんとアレルゲンを調べ、細菌を調べ、血液から内臓の状態も分かってくる。 その結果、かなり重度のアトピーと診断されてしまった。
その頃の息子は、両頬はひび割れ黄色い汁が出てジクジク、頭皮は脂漏性湿疹でガビガビ、首やお腹や腕など広範囲に炎症があり、低蛋白血症とアレルギー性肝炎を併発していたのだ。
そうして、本気で、アトピーと向き合わなければならなくなった。
まさか自分の子供がアトピーになるなんて、1ミクロンも考えていなかっただけに、相当ショックを受けた。
親になるということは予想以上に大変なことだと、嫌でも思い知ることになったのだ。